創業からの1年は、とにかく
「作って、壊して、また作る」 の繰り返しだった。
StepAIとしてこの1年で何を考え、
どんなプロダクトを作り、
どこで間違え、何を学んだのか。
今回は、その中でもプロダクト開発に絞って振り返ってみたい。
0→1より、「0→-1」を何度も経験した
最初にぶつかった壁は、とてもシンプルだった。
「AIで電話を自動化する」
言葉にすると簡単だが、
「動く」ことと「使われる」ことは、まったく別物だった。
音声が自然に聞こえる
会話が破綻しない
APIが正しく動く
これだけでは、電話の現場では一切価値にならない。
実際に顧客から返ってきた声は、かなり率直だった。
「機能が多すぎて、使い方がわからない」
「余計なことは話さないでほしい」
「人っぽくなくていいから、仕事として正確にやってほしい」
ここで初めて、はっきりと認識が切り替わった。
僕らは「会話AI」を作っているのではない。
「業務AI」を作っているんだ。
技術を固定しない、という選択
この1年、StepAIのプロダクト開発で
一貫して意識してきた姿勢がある。
それは、技術構成を最初に固定しないこと。
どのAPIを使うのか
どこまでを自社で作るのか
新しいモデルが出たとき、どう向き合うのか
これらを、最初から決め切ることはしなかった。
常に軸に置いたのは、
プロダクトの目的と、現場での使われ方。
実際、モデルや技術の進化は想像以上に速く、
「一度決めた設計」が、数ヶ月で最適解でなくなる場面も何度もあった。
だからこそ、
外部の力を借りるところは、迷わず借りる
体験や業務要件に直結する部分は、自分たちで握る
判断基準は、常に一つ。
「それは、本当に使われるか?」
この姿勢は、これからも変わらない。
オペレーターとの壁打ちが、設計を変えた
開発の途中から、
オペレーターやクライアントとの壁打ちは
**「レビュー」ではなく「設計工程そのもの」**になっていった。
この機能、本当に必要か?
どんなUIなら迷わないか?
会話品質の最低ラインはどこか?
一つひとつは小さな指摘でも、
積み重なるとプロダクトの形は大きく変わる。
机上で考えた「正しさ」より、
現場での「違和感」の方が、何倍も価値があった。
会話AIではなく、「業務フローの一部」を作る
音声AIプロダクト Reco の設計思想は、
この気づきで大きく変わった。
❌ 初期の発想
自然な会話
雑談もできる
人間らしさ重視
✅ 今の発想
目的が1つに定義された会話
1問ずつ、短く、確実に
会話は「UI」であり「操作手順」
会話は表現ではなく、
業務を前に進めるためのインターフェース。
この前提に立ってから、設計の迷いは一気に減った。
UIは「多機能」より「迷わない」
プロダクト開発でもう一つ大きかったのが、UI設計だ。
現場で何度も言われた言葉がある。
「で、結局どこ押せばいいんですか?」
そこでやったのは、大胆な削除だった。
設定項目を減らす
細かなチューニングができるUIをあえて消す
直感的に操作できる導線に寄せる
結果として、RecoのUIは
説明しなくても触れるレベルまでシンプルになった。
これは正直、
作る側のエゴを捨てる作業でもあった。
この1年で学んだ、プロダクト開発の本質
最後に、1年やってみて痛感したことをまとめる。
AIを評価されるのは最初の1ヶ月
→ それ以降は、徹底的に費用対効果会話の賢さより、失敗しない設計
多機能より、意図が一瞬で伝わるUI
そして何より強く感じたのは、
プロダクトは「軸」がないと、改善するたびにブレていくということ。
Recoは、まだまだ未完成だ。
それでも、価値を感じてくれるクライアントがつき始め、
チャーンした会社は今のところ一社もない。
正直、ようやく
スタートラインに立てたくらいだと思っている。
ただ、この1年で
**「何を作るべきで、何を作らないべきか」**は、かなり明確になった。
来年は、Recoをもっと多くの現場に届けていきたい。



